夏目漱石は「アイ・ラブ・ユー」を「月が綺麗ですね」と訳しましたが、これとは逆に、何気ない文面から好きなどの感情を伝えられる技術が開発中です。ワコムとワン・トゥ・テン・ドライブがプロトタイプとして発表した「感情を伝える手紙」は、デジタルペンの筆致と脳波で取得した感情データをリンクしています。集中、リラックス、興味などを可視化して画面上に表示し、さらに、喜怒哀楽の感情もわかります。将来的には、脳波計なしに、ペンのみで検知した筆圧やスピードから感情を計測できるようになるということです。実用化すれば、教育やメンタルヘルスなど医療分野での活用も期待されるでしょう。熱い気持ちで綴ったラブレターや退職願いを、AIから「感情が暴走しすぎですよ」と指摘される日が来るかもしれません。プロトタイプでは、脳波計とデジタルペンの両方から取得したデータをもとに感情データを分析します。感情の強弱が5つの種類に分けて記録され、どの文字を書いた時点でその感情が強まっているかがグラフでわかるようになっています。書いた文章をアニメーションで再生させると、リラックスや集中の感情が背景の色で表示されます。ワコム テクノロジー・ソリューション・ビジネス・ユニット苅谷花子氏「すでに300人以上のデータを取らせていただきましたが、職業などによっても書く際の感情の出方に個性が出てきます」